日本では古来より、米(こめ)・麦(むぎ)・粟(あわ)・稗(ひえ)・豆(大豆:だいず)を「五穀」(ごこく)と呼んで、とても大切にして来ました。
飽食の時代といわれ、食品ロスが問題になる今とは違い、食べ物に対する感謝も「五穀豊穣」を祈る行事として崇高なまでに行われていました。
五穀のひとつ「大豆」も大切に扱われ、京都の伝統文化に深く関わりその役目を果たしてきました。
京都のお節料理
京都のお正月にはかかすことのできない「お節料理」には必ず黒豆が入っています。色は違いますが、大豆の仲間である黒大豆。京都では京野菜として有名な丹波の黒豆が主流です。
黒大豆を煮た黒豆は「今年もまめ(豆)に働けるように」「今年もまめ(豆)に暮せるように」との願いが込められているのです。
節分の豆
2月に行われる節分は、長く寒い冬に終わりを告げ、暖かい春を迎えるにあたり、豆まきなどをして一年の邪気を払うために行われます。
最近では「恵方巻」が有名ですが、大豆は「魔滅」(まめ)といわれ、大豆は病気や災いなどの「魔を滅ぼす」とされ、節分の日の夜に「鬼は外、福は内」と言いながら、煎り大豆をまいて魔よけ・鬼払い・厄払いをします。
また、年齢の数だけ煎り大豆を食べ、同じよう魔よけ・鬼払い・厄払いをします。
京都の各所では個性豊かな節分の行事が行われています。主に松尾大社(節分大祭)、吉田神社(節分祭)、壬生寺(節分厄除大法会)、北野天満宮(節分祭)、天龍寺(節分会)、八坂神社(節分祭)、千本ゑんま堂 (強運節分会)、千本釈迦堂(おかめ節分祭)、平安神宮(節分祭)、聖護院(節分会)、毘沙門堂(節分会)、長岡天満宮(節分祭)などで行われています。
精進料理に使われる大豆
大豆は古来、中国より伝わりましたが、仏教の伝来と共にお寺での精進料理にゆばが使用されるなど、その昔から、大切な栄養源として用いられていました。
現代では、さまざまな加工食品として重宝され、夏には、大豆を熟す前に収穫した枝豆がビールには欠かせません。また、夏の暑さで食欲のない時にも、美味しく栄養が摂れる豆腐「冷や奴」。冬には、湯豆腐をはじめ、さまざまな鍋料理。厚揚げやきんちゃくが入ったおでんが冷えた身体を暖めてくれます。
スローフードや健康食品として世界から注目される大豆ですが、京都の伝統的な年中行事に、おばんざいなどの家庭料理、料亭で出される京料理、お寺では精進料理にと、大豆は私たちの生活や京都の伝統文化と深く関わり合うなくてはならない大切な存在なのです。
京の雑学ー豆知識と暮らしの知恵としきたり
京の雑学では、一年の中にちりばめられた、私たちが幸せに暮らすための知恵「吉例」や、暮らしのバイブルである「二十四節気」など、日々を楽しく豊かにしてくれる雑学、豆知識を紹介しています。「吉例」は縁起の良いしきたりのこと。自然の恵みである太陽、月や神様、仏様、御先祖様に感謝を伝える為に古くから受け継がれてきたことです。しきたりの心を知り行えば日々楽しく、豊かに暮らせるのではないでしょうか。
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